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デス・ストランディングはゲームなのか?

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デス・ストランディングはゲームなのか?

自分の意見としては、通常の意味のゲームというよりも体験する映画に近い。製作者自身の人生をも反映しているような「人とのつながり」をテーマにした物語。これをリアルに体験してもらうための壮大な箱庭を準備したという印象。本作においては、現実では当然だが今までほとんどのゲームで採用されなかったリアリティを採用している。それは"荷物"。

最近ではリアルなオープンワールドのゲームは珍しくないが、他のほとんどのゲームで採用されている現実と乖離した設定が「いくら所持品が増えても荷物が邪魔にならない」点である。大部分のゲームの主人公は現実で持ち切れない量の道具、食料、武器、物資を抱えて移動している。理由は単純で、そこをリアルにするとやれることが少なくなりすぎて従来のゲームとしての面白さを出すことが難しいから。

デス・ストランディングはここをリアルにしてしまった。荷物を持てる量には限りがあり、持てば持つほど動きは遅くなり、走るだけで倒れそうになる。荷物を持ってぬかるみで走ろうものなら滑って転んで崖に落ちて死ぬ(死ねない)。もちろん結果としてやれることが少なくなりすぎて従来のゲームとしての面白さを出すことは難しい。なので荷物を持って移動すること自体をゲームにしてしまうという強引な解決方法を採用した。よりリアルなオープンワールドを、よりリアルな環境で体験し、物語を堪能する。それだけに特化したような作品。

今作においても、小島監督の過去作品にあるような、かくれんぼ要素、鬼ごっこ要素、戦闘要素、競争要素、キャラ成長要素、アイテム生成要素など、従来のユーザ受けの良い他の要素も入れようと思えば入れられたに違いない。でもそれらをあっさりと切り捨て「荷物を持って移動する体験」だけをゲームにしている。その代わりその部分を徹底して作りこむ。過去の成功に捉われないこの割り切りが凄い。今後もしかするとこのタイプのゲームにも他の要素が追加されていくかも知れないけれど、まずは進むべき道を切り開くことを優先させたのではないだろうか。

個人的にはこういう冒険心のある作品は大好き。