ほぼドミ

ゲームの対戦記録など

タクティクスオウガリボーン


名作のリメイク!

子供の頃、自分の人生観にも影響を与えた偉大な作品 タクティクスオウガ。単なる勧善懲悪の物語ではない。如何にも悪そうな顔のうえに暗黒騎士という肩書を持つ隻眼の男の放つ言葉は一々重みがあり、残酷ながらも私利私欲に捉われず祖国を救うために尽くすこの男の信念は心を打つ。主人公を含め登場人物のほとんどが私情で決断をしてしまうのと対照的。

民主主義が絶対の正義だなんて幻想に過ぎない。極めて理想的に運営されれば専制政治よりマシかも知れないという程度のもの。不満をこぼすだけで自分自身が政治を担っている一人だという自覚のない国民による民主主義の国が腐っていくのは当然の理。国を良くしたいなら自分自身が成長することが第一。そういうことを気付かせてくれた。

本作はそのタクティクスオウガのリメイク。絵や背景が美しくなり、ストーリやダンジョンが追加された他、セリフがフルボイスとなった。もともとかなりのボリュームを持つゲームだったが、さらにスゴイ量になってしまった。自分は160時間以上かけてクリアしたが聞いたセリフのコンプリート率は半分にも満たなかった。まだ見ぬセリフが大量にあるらしい。声優さんの演技はとても上手で、過去に聞いて覚えているセリフでさえ、全く違った印象を覚える。特にヒロインのカチュアは同じセリフなのに別人に思えた。

 

戦略的な戦闘と様々なストーリー

タクティクスオウガリボーンの戦闘はその名の通り戦略シミュレーションゲームである。RPGでもあるのでキャラを成長させることが出来る要素もある。しかし無制限にキャラを成長させると戦略性がなくなってしまうためレベルキャップが設けられている。これは大変良いシステムだと思っている。また昔のような移動時のランダムエンカウントもなく、ストレスなく進められる。慣れてくると煩わしく感じる演出やセリフ送りを簡略化したり、イベントをスキップしたり、操作の自由度が高くとても良い。ヘルプが充実しておりいつでもすぐに確認できること、命中率や属性の強弱が攻撃前に表示されることなど、プレイヤーが戦略を考える上での余計な調査作業を低減させる気配りが非常にされており好感が持てる。

また戦闘中はマップ上にランダムでバフカードが現れ、キャラがそれを取ることでパワーアップされるシステムが導入された。これにより運要素が上がり、戦闘の展開に幅が生じるようになった。これは賛否両論あるかも知れないが自分は歓迎。安定しすぎている闘いはただの作業になりがちだから、不安定要素を入れるのは面白い。

本作は一本道のストーリーではなく主人公の選択によってその後の展開が大きく変わる。というより、その後の展開どころが、もともとの性格の設定からして変わってしまう。単なる分岐ではなく複数の世界が用意されているようなもの。サウンドノベルの名作「かまいたちの夜」のようなシステム。特に主人公の親友ヴァイスは主人公の言葉の選択によって顔つきや思想が豹変して大変面白い。エンディングも複数用意されており、必ずしもハッピーエンドになるとは限らない点がすばらしい。

また自分は未プレイだがクリア後の追加エピソードや、少し現実離れした「もしも」の世界線のストーリーも用意されているらしい。過去作をプレイ済みの人でもさらに楽しめるようになっている。

本作の主人公は正義の味方ではない。確固たる信念に基づいて初志貫徹を通す人物でもない。時には人道に外れた行動をとって、迷いながら、失敗しながら、成長していく。その父も、その姉も、私欲に基づく行動で結果的に戦乱を長引かせてたくさんの命を奪っており、人として決して褒められたものではない。だが反省し、意志を継承し、最後には人々の未来のための礎になることが出来た。これぞ人間。

難易度について

自分の印象では、普通にプレイする限り、このゲームはクリアするまでにほぼゲームオーバーになることがない。システムはよく出来ているのだが難易度が低すぎると感じてしまった。無制限にたくさんセーブデータを作れることや、自分は使ったことがないがチャリオットという時間を少し巻き戻してやり直す救済システムがあるのだから、もっと難易度をグーンと上げても構わないと思った。

だがクリア後にTwitterなどを見てみると、これでも難易度が高いという意見も数多くあった。それであれば難易度設定を設ければいいのであろうか。ただゲームというものは難易度も含めて体験の一つであるので、簡単に難易度を設定できるシステムを導入したくないという製作者の意図も分かる。絶対的な正解などない。

他ゲームの話になるが、例えばSEKIROには難易度設定がない。難しいと感じる人もいるようでトロフィー状態を見る限り1/3ぐらいが最初のボスで脱落しているように見えた。批判もあった。それでも製作者は容易に簡単にしたくはなかったのだろう。自分は英断だと思う。あの世界観はあの難易度あってのものだからである。

逆にThe last of usは難易度設定や操作を簡単にする設定が豊富。自分は最初 難易度設定ハード(ノーマルより少し上)でプレイしたが簡単すぎると感じたので途中で止めて最高難易度グラウンドでプレイすることにした。かなりやり応えがあって楽しかった。最高難易度だとSEKIROよりも難しい。しかし難易度を下げれば誰でもクリアできる。莫大な開発費をかけたゲームが売れなければ業界に未来はないため、幅広い層に受け入れられるようにするためにこういうアプローチをするのもアリだろう。

おわりに

最後ぐらいシビアな闘いを味わいたいと思い、ラスボスはソロで挑むことにした。ここで初の敗北を味わい、工夫して何度も挑戦しての勝利。エンディングの感動もひとしおとなった。

 

クリア後に解放される要素もかなりのボリューム。レベルキャップ解放、ストーリーの分岐、追加エピソード、死者の宮殿の続きなど。 でもキリがないのでここで終了することにした。十分堪能したし楽しかった!

開発者に大いなる感謝を捧げたい。また過去作をクリア済の人も未プレイの人もぜひともこの作品をプレイしてみて欲しい。間違いなく楽しく充実したゲーム体験を味わえるから。

 

追記

追加エピソードに手を付けてみた。結構なボリュームで手応えがある。特にラストの戦闘は自分で縛りを設けなくとも十分に高い難易度の総力戦。いままでのプレイ経験とキャラの成長が発揮される機会がようやく来た!興味深い会話もたくさん聞けて大満足。ラストの勝利により、真のエンディングとも言えるイベントを見て、心置きなくこのゲームを卒業することとなった。収集要素や見ていないイベントはまだたくさん残っているようだがここまでとする。

自分は結局一度もチャリオットというやり直しシステムを使うことはなかった。しかし人によってはゲーム要素のコンプリートのためにレアドロップのアイテムの収集などで使用することも出来るだろう。救済措置というより、実はやり込みのためのシステムなのかもしれない。