不思議のダンジョンの極み 風来のシレン 5plus
風来のシレンとは
1995年、トルネコの大冒険に次ぐ不思議のダンジョンシリーズ第二弾として登場。不思議のダンジョンシリーズの最高傑作として他の追随を許さない。難易度が高く、一度死ぬと全てを失って初めからやり直しとなる。シリーズを通してオートセーブを採用し、死ぬ直前からのやり直しを許さないスタイル。初代プレイステーションのようなセーブデータのコピーで保険を取れるようなハードでは発売されていない(と思う)。ダンジョンは自動生成でランダム。「何度でも冒険できるが、全ては一度限りであり、同じ状況に戻すことは出来ない」それがシレンの大きな特徴。キャラクターではなく、プレイヤーが成長していくことでクリアに近づいていく。
メインストーリークリア後に大量の新ダンジョンが追加されるのも本作の大きな特徴。エンディングまでがチュートリアルと言うのは決して大げさではない。クリア後の要素がクリアまでの数倍から数10倍はある。シリーズを重ねるごとに、チュートリアルが増えて初心者の敷居はどんどん低くなっており、かつ上級者向けの高難易度要素はどんどん増えている。これにより非常に幅広い層が楽しめる作品となっている。そのため最新作シレン5plusではボリュームがとてつもない量に膨れ上がっている。
風来のシレン 5plusについて
2010年 ニンテンドウDSで風来のシレン5が発売。その改良版として2015年 PSVitaで風来のシレン5plusが発売。そして2020年 SwitchとSteamでさらに追加要素を加えた風来のシレン5plusが発売。
個人的には 最新にして一番面白いシレンだと思っている。チュートリアルは親切で、どんな初心者でも簡単にルールを覚えられるように工夫されている。上級者向けのダンジョンのボリュームも半端じゃない量である。自分は全ダンジョンをクリアするのに半年以上の月日を要し、プレイ時間500時間以上かかることとなった。もちろん一時たりとも飽きることはなかった。
YouTubeやニコニコ動画との連携
シレンは実況動画や生放送との相性が良い。毎回違う冒険が楽しめる不思議のダンジョンは、既プレイのダンジョンであっても予想外の展開が起こり続ける。上手い人であっても、上手くない人であっても、真剣に考えた結果 面白い結末に至ることが多い。淡々とプレイする実況も、リアクションの大きい実況も、見ていて楽しい。特に風来のシレンシリーズの外伝作品である「女剣士アスカ見参!」は実況動画で大ブームとなり、ゲームの価格が跳ね上がったことで有名。意図的にネタを盛り込んだテクニカルな動画も数多くある。
Switch/Steam版の風来のシレン5plusはこの実況を意識した要素が追加されている。ライブ探索表示といい、シレンの状態や持ち物が常に画面に表示されるというもの。これによって動画の視聴者は、これらの情報を覚えている必要もなくなり、動画を途中から見たとしてもプレイヤーの行動の意図を理解しやすくなる。そしてこれは自分がプレイする時にも非常に便利な機能である。ハードの性能が上がり、画面の解像度が上がったことで実現した情報の常時表示。もうこれなくしてプレイは出来ないと思えるほど快適となった。
ライブ探索表示
オススメ動画&実況
超上級者プレイヤーによるシレン4のネタ動画
最近のシレン5+実況動画。初心者のプレイも見てて楽しいのがシレン。未プレイの人は見てみると興味を持つと思う。
シレン5の泥棒講座動画。店を見つけたら何としても泥棒するシレンジャーは多い。
思い出のダンジョン ベスト5
Switch/Steam版の風来のシレン5plusには34個のダンジョンがある。さらにそれぞれは初回クリアまでと2回目以降で異なるゴールが設定されている。初回クリアまでは練習のようなもので2回目以降が本番である。多くのダンジョンで2回目以降はゴールが99Fに設定されている。
その中でも思い出深いダンジョンを挙げてみる。
原始に続く穴
クリア後ダンジョンとして最もスタンダードで大人気なダンジョン。初代風来のシレンで言うところの最終ダンジョン 「フェイの最終問題」に相当する。持ち込み不可で、ほぼ全てのアイテムが登場し、全て未識別状態。初回クリアは50Fで2回目以降は99F。このダンジョンの99Fクリアをゲームの最終目標にしているプレイヤーも多い。
本編をクリアしたばかりのプレイヤーにとっては難しいと感じるかも知れないが、非常にバランスが良く、ランダム要素が多いにもかかわらず、どんな冒険であっても臨機応変に適切に対処すればほぼクリアできる。「このようにしないとクリアできない」や「このアイテムを引かないとクリアできない」というようなことがない。低層でアイテムの引きが悪ければ諦めることを繰り返す「低層ループ」は必要としない。
多くの知識と経験はこのダンジョンで死んで得られるものである。全ての基本にして王道。さらなる上のダンジョンを目指す人もまずはこのダンジョンに何度か挑戦して学ぶのが良い。何度やっても楽しい。
またこのダンジョンでは特定のアイテム群を使わない縛りプレイで「エキスパート証明」が貰える。上級者はこのエキスパート証明の複数同時取得に挑んだりする。
おにぎり穴
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風来のシレンと言えばおにぎりである。シレン 5plusでおにぎりといえば、そう、おにぎり穴である。一度は行った部屋から出るとその部屋が塞がってしまうという特殊なダンジョンである。おにぎり穴という名前の割に、ダンジョン中でおにぎりは出ない。常に食糧難に悩まされるため、逆におにぎりの大切さがよく分かる。
特殊な割にバランスよく出来ている。このダンジョン特有の戦略が必要で、パズル的な要素が強い。難易度としては原始に続く穴より少し難しい程度だと思う。大変面白く、「エキスパート証明」もあるため上級者にとっても大人気なダンジョンである。
二撃の道
その名の通り、自分も敵も2撃で死ぬダンジョン。1撃喰らうとHPが1になり、その状態でもう1撃を喰らうと死んでしまう。逆に言うとほんの少しでも回復してHPを2以上にすれば一度の攻撃で死ぬことは無い。これもパズル的な要素の強いダンジョン。
運要素が強いが、システム上サクサクと進めることができるため、一回のプレイにそれほど多くの時間はかからない。何度も死んでやり直す前提となる。低層ループを用いて、クリア出来そうな場合は慎重にプレイするというのが良さそう。特に罠チェックは重要。罠を踏んだら死ぬと思った方が良い。また50回以降は視界不明瞭となり、気配察知の腕輪を引いていないと視界外から連続攻撃されて事故死することがあるため、かなり厳しくなる。
原始に続く穴よりはだいぶ難易度が高い。一手一手 常に最悪の事態を想定する習慣が身に付いていないとクリアすることは出来ないだろう。運要素が強いため、人によってこのダンジョンの評価は分かれるが、個人的にはそこまで理不尽な運ゲーとは思えない 。クリアの達成感は格別であり、楽しかった。
あらしの森
後述のわくわくパラダイスと双璧をなす、シレン 5plusの最難関。
1フロアにアイテムが一つしか落ちていないダンジョン。しかも畠あらし系がその唯一のアイテムを雑草にしてくる。ンドゥバが多く登場し、アイテムに飛びついたプレイヤーの心を折りにくる。店の出現率は低く、出現しても商品が3つしかない。慢性的なアイテム不足に悩まされる。その上 超不幸の種、忌火起草や物忘れの草といった一瞬で冒険を終わらせるマイナスアイテムが床落ちや草どりの草投げで登場する。75F以降では、原始に続く穴の最深層でも登場しない最強レベルの一撃必殺モンスターがウヨウヨしている。唯一の救いとしては装備以外が識別済みであること。
序盤のアイテムの引きがある程度良くないと後半のクリアは不可能。このダンジョンでも低層では速く進めてアイテムの引きが悪ければ諦める作戦が良い。低層を何度かやりなおす必要があるが、そもそも1フロアにアイテムが一つしかないことが分かっていることと、ほとんどのアイテムが識別済みであることから巡回に時間はかからない。また畠あらし系を利用して草で食いつなぐことが出来るので食料にはあまり困らない。
原始に続く穴より遥かに難易度が高い。これがクリア出来れば一流の風来人を名乗れるのではないだろうか。
わくわくパラダイス
名前の割に超鬼畜なシレン 5plusの最難関ダンジョン。モンスターがたくさん湧くからわくわくパラダイス。個人的にはあらしの森よりキツイと思う。札以外のアイテムが未識別で特殊なルールはないスタンダードなダンジョン。原始に続く穴から難易度を猛烈に上げたようなもの。特徴は以下の通り。
・モンスターの自然発生が非常に早い
・罠の数が非常に多い
・各フロアに非常に強い強敵一匹がいる
・風が吹くのが非常に早い
・昼盾や金食いといったクリアに有効な強い装備は出ない
・店の出現率が非常に低い
・床落ちや草どりで超不幸、忌火起草や物忘れの草がある
・トドは楽草しか落とさないのでトド狩りは出来ない
・31Fからドレッドラビなど、極悪モンスターの登場が早すぎる
・あらしの森と同じく75F以降では一撃必殺クラスのモンスターが多く登場
・深層でみだれ大根2やアビスドラゴン2が登場し、対策がないと最後の最後で詰む
あらしの森と違い、アイテムはたくさん出るのだが、それ以上に敵の数が多すぎてアイテム消費が激しい。まともに相手をしているとじり貧になってしまう。低層ループや稼ぎプレイは必須だが風が吹くのが速いので安定はさせられない。罠が多く事故を起こしやすい。多くの場合 食料に余裕はないが、スーパーの維持は非常に重要なのでお腹を鳴らしてはいけない。
各フロアの強敵の存在のため1F~3Fあたりの事故死率が非常に高い。ここだけを見ると運ゲーに見えるので、そのあたりはプレイヤーに非難されることが多い。確かにここはバランスが良いとは言えない。ただし1F~3Fで死んでも時間をそれほど取られるわけではないので、そういうものだと割り切って気にしないようにするのが良いと思う。
こちらも原始に続く穴より遥かに難易度が高い。しかし何度か繰り返せばクリアに至る道筋は見えてくる。今までに培った知識と経験を総動員してクリア出来たときの喜びは至上である。
最後に
プレイ時間500時間でやっとたどり着いた全ダンジョンクリア。ラストのわくわくパラダイス99Fだけで何度繰り返しただろうか。プレイは完全に堪能して卒業したが、その後もYouTubeやニコニコ動画などで実況動画を見て楽しんでいる。
ぜひ色々な人にプレイしてもらいたいRPGの傑作である。興味を持った人はまず実況動画などを見てみて欲しい。